2015年01月18日
ガンハンドリング
競技射撃、検定射撃、実戦射撃の区別を問わず、銃を扱うには安全4則を守る必要があります。それらは、
1)銃は常に弾が装填されているものとして、取り扱うこと
2)壊したくない物、傷つけたくない者に対し、銃口を向けないこと
3)標的に照準を定め、射撃する明確な意思が決定されるまでは、引き金に指を触れないこと
4)標的の前後左右を確認すること
です。
日本だけでなく、世界中の軍や警察ではこれら以外に、
5)必要のない場合は、銃に弾を装填しないこと
と5番目のルールがありますが、これは安全管理だけを考慮したルールであり、実戦的ではありません。ジェフ・クーパーが唱えたルールは上記の4つだけであり、特に実戦射撃では弾の入っていない銃を所持することはあり得ないので、この5番目は「非実戦的」もしくは「非現実的」であるとして、タクティカル・トレーニングの世界では存在しません。
銃を取り扱うにあたり、2つのグループが存在します。それらは、
A)銃は撃つ時以外は、常に弾が入っていない状態とする
B)銃はいつ、どの様は状態であれ、常に弾が入っているものとして扱う
の2つです。これらは武道の流派のように、何れにも理由は存在します。当スクールでは「B」を教えていますが、どちらがより安全かを、こちらの映像を見て検証してみて下さい。
この映像は、米ケンタッキー州のガンストアで起こった事故の映像です。ショーケースの中から取り出された銃を手にした警察官が、「装填されていない」ものと思い込んで自らの左手を撃ってしまった一部始終を記録しています。
この警察官の頭の中には、おそらく「銃は撃つ時以外は、常に弾が入っていない状態とする」といった上記のAの考え方が染みついていたに違いありません。だから不用意に薬室の状態を確認することなく、引き金を引いたのでしょう。上記の安全4則の1)に違反しています。また、事故が起きるまでの手にした銃の銃口の向きに注意してもう一度見てみて下さい。彼の正面にいる店員だけでなく、彼の左側(画面の奥側)にいる客に銃口が向いているのが見て取れます。上記の安全4則の2)に違反しています。
では3)と4)は?元々自分の指を吹き飛ばすことが目的であれば、3)は問題ないでしょう。ですが、そうではなかったようですので、3)も違反しています。そして運悪く標的となってしまった左手の向こう側には数名の客が存在していたことから、4)にも違反していたことに結果的になります。
仮に彼が上記のBの考え方を持っていれば、どうだったでしょうか?むやみに銃口を前へ左へ向けることは無かったでしょうし、もし引き金を試しに引くとなった際には事前に薬室の中を確認していたでしょう。
と言うことで、銃器安全4則を守って安全に銃を取り扱うのは、上記のAとBの何れの考え方がより現実的かがお分かり頂けたのではないでしょうか?
因みに流石は訴訟大国アメリカで、この警察官は「安全な状態でない銃を手渡されたことが事故の原因だ」として店側を訴えています。結論はまだ出てませんが、濡れた飼い猫を乾かすために電子レンジでチンした側が「猫をチンしないで下さい」と取説に書いていなかったメーカーに勝った国ですから、常識うんぬんは無視された結論が出るのでは?と経過を見守っています。
Posted by Shadow Warriors Training at 13:53
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