2014年06月20日

CQB(4)

CQB(4)
 前回の続きですが、味方同士での誤射(同士討ち)を英語ではFriendly Fireと言います。どこがフレンドリーやねん!と突っ込みたくなりますが、軍や警察の世界ではBlue on Blueと言います。その理由は自衛官ならピンとくるかと思います。作戦図では我を青、敵を赤で示しますが、その味方同士(青と青同士)であることからBlue on Blueと言います。装備品メーカーでBlue Force Gearという名のメーカーがありますが、Blue Forceとは自軍のことを言います。

 因みに私は右腕に2ヶ所と左腕に1ヶ所、海外での訓練中に受けたBlue on Blueによる傷があります。9mmが2ヶ所と5.56mmが1ヶ所です。これらは何れも実弾ではなく、Force-on-Force訓練で使用した訓練弾(Simunition FX)ですが、何れも至近距離でしたので1年以上経った今でも傷痕がハッキリ分かります。なお、付け加えておきますが、私は今日現在に至るまで友軍誤射をしたことはありません。こいつ撃ってやろうか!と思ったことは何回もありますが...

 CQBは非常にダイナミックな環境です。野戦とは距離感が異なります。下手をすればお互いに手を伸ばせば届く距離にて遭遇し撃ち合います。ですが通常のCQBよりも数段階難しいCQBがあります。それは船内でのCQBです。日本国内では海保SSTや海自特警隊などがそれらを専門としていますが、通常のCQBが360°の環境での戦いであることに比して、船内でのCQBは720°の環境にあります。船内では上下の階が強固な床や天井で構成されているケースもあれば、軽量化のために網状のパネルなどで構成された区画があります。そこでは前後左右だけでなく、上下も見通せることから、720°の戦闘環境となります。

 また、船内には触れると火傷をする機器やパイプ、着弾すると爆発炎上する機器やパイプの存在を始め、壁・床・天井は全て跳弾を起こす素材であり、水密扉が閉められているとフラッシュバンや攻撃型手榴弾が役に立たない等など、一般的な建物とは全く異なる環境が存在します。よって、VBSS(Visit Board Search and Seizure)やMIO(Maritime Interdiction Operations)と言った作戦に従事する部隊は通常の建造物でのCQBは難なくこなせますが、通常の建造物だけでCQB訓練をする一般部隊は船内では有効に戦えないのが現実です。

 なお、写真は90年代半ば頃の米海軍特殊部隊の隊員です。



Posted by Shadow Warriors Training at 23:47 │小ネタ