2021年02月21日

フラッシュライトについて(4)

フラッシュライトについて(4)
 また、ローライト・ノーライト環境下での射撃では、同じ場所に留まって撃ち続けることは戦術的にも技術的にも困難になりますので、昼間よりも頻繁に動くことが求められます。

 相手を照らす事よりも自分の居場所を分からせないために、照射・移動・射撃・移動といった流れを1つのルーティンとすることは既にご理解されているとは思いますが、これは戦術的な話です。同じ場所に留まって撃ち続けることが難しくなる技術的な問題とは何か?それは硝煙や砂ぼこりといった昼間ではあまり射撃に影響を与えないものが、ローライト・ノーライト環境下では射撃の妨げとなるからです。

 無風状態の場合、煙はその場にしばらく留まります。床や地面が乾いた砂やほこりで覆われている場合、地面に近い位置で射撃すると発射ガスによってほこりが舞います。昼間では目線とは違う角度にある太陽が光源になりますので殆ど気にすることなく標的は見えるのですが、自分の目線と光線がほぼ同じ角度になるローライト・ノーライト環境下では舞い上がった煙の粒子や砂ぼこりはライトの灯りを反射させてしまいます。煙や砂ぼこりの向こう側にもライトの灯りは抜けているのですが、目の前に待っている煙や砂ぼこりに反射したライトの灯りが眩しく見えることから、射手の目には標的は見えなくなります。例えるなら、濃い霧にたいしてハイビームを照らしている様な状態になります。

 その様な状態では標的を確認することも出来ず、また目の前に光のスクリーンが出来ることから、こちらの位置をより鮮明に敵に分からせてしまう事になります。よって、その様な状態になる前に、またその様な状態になった場合は、速やかにライトを消して照射・射撃が出来る場所まで移動する事が求められます。これが、同じ場所に留まって撃ち続けることが出来なくなる技術的な問題です。

フラッシュライトについて(4)
 因みに、レーザー照準器を用いて射撃をする場合、実際は照射点のみが光って見えてレーザーの光線そのものは見えません。映画などでは場面をダイナミックに見せるために光線を見えるように映像を加工したりしますが、実際はそうは見えません。しかし、煙やほこりが舞っている状態ではレーザーが煙の粒子などに反射して光線が浮かび上がって見えます。つまり、ライトを照らさなくともレーザー光線が浮かび上がるので、ある程度の距離であればこちらの位置を敵に露呈することになります。よって、レーザー照準器を扱う場合も、ライトを扱う場合と同様の回避行動が必要になります。

 昼間でも夜間でも「撃つ」技術を体得することは簡単です。決して難しいことはありません。しかし、昼間でも夜間でもより重要な事は「撃たれない」ことであり、これを理解して体得するには単に訓練すればよいだけでなく、正しい訓練をする必要があります。

終わり



Posted by Shadow Warriors Training at 21:39 │小ネタ