2017年10月09日

巷でよく見る間違い(4)

巷でよく見る間違い(4)
 CQB訓練での1コマです。残念ながらツーマンセルの連携が出来ていません。ここでの間違いは、ポイントマンとウイングマンの間にギャップがあり過ぎることです。人間の視野はおよそ200°程度ですが、両目で当時に見える範囲は120°程度です。ところが銃を構えると焦点が合っている範囲は90°もなくなり、更に光学装置やアイアンサイトを覗き込むと10°程度まで視界が狭まります。何が良いたいかと言うと、室内や廊下などの状況を瞬時に把握して対処することが任務のポイントマンが見ている範囲が限られているという事です。そこでウイングマンがポイントマンが見逃したり見ていない範囲をカバーする必要がありますが、ウイングマンの突入が遅れれば遅れるほど、ポイントマンが一部の範囲を見れないまま室内や廊下にいる状態が長引くことになります。

 この問題は、ウイングマンの動きが遅いだけが原因ではありません。ポイントマンがウイングマンが付いて来れないスピードで移動していたり、ポイントマンがウイングマンに突入の合図をせずに突入してしまったことも原因と考えられます。言葉を発するにせよ発しないにせよ、相手が理解して行動を起こすことが確認出来ない限りコミュニケーションは成立していません。戦闘間に必要な3つの行動の2つまで(射撃/Shootと移動/Move)は簡単です。個人技ですので、自己錬成にてレベルを上げることは可能です。ですが残りもう1つ(連携/Communicate)にあっては相手なくして訓練は出来ません。よって普段から意識してコミュニケーションを重視した訓練を行わないと、連携が疎かになり、結果としてツーマンセルとして正しく機能しないことへと繋がります。

巷でよく見る間違い(4)
 また、仲間が見ていない範囲をカバーする時は、目線だけでなく銃口でもその範囲をカバーする必要があります。脅威を認識してから射撃するまでのタイムラグを極力短くするためには、目線と銃線は同じ方向を向いている必要があります。写真では顔を隠していますが、ウイングマンの顔の向きと銃の向きが異なっているのがお分かり頂けるかと思います。更に言えば、ポイントマンによるドアの処理も甘すぎますが...

巷でよく見る間違い(4)
 戸口を抜けたりする必要がある場合は、ウイングマンは身体が戸口を通過していなくとも、上の写真の様に銃口と目線をポイントマンと反対の方向に向ける必要があります。まあ、そのノウハウは文章で書くと難しので、CQBコースにて展示させて頂きます。

 さて、4回に渡り色々と書いてきましたが、挙げるとキリがないので、とりあえず今回で一旦終わりとします。



Posted by Shadow Warriors Training at 23:47 │小ネタ