2017年09月04日

標的識別について(2)

標的識別について(2)
 現実世界では標的となる生きた人間がじっと動かずに撃たれるのを待っていることはありません。また、その周りにいる味方や第3者も同じく移動せずに突っ立っていることはありません。その様な状況においても銃口管理(Muzzle Awareness)と標的識別(Target Discrimination)に加えて、自らの安全確保のために遮蔽物の陰に入るといった色々な事を考えながら行動しなくてはなりません。

標的識別について(2)
 特に車両伏撃や航空機内での制圧などといった敵味方が至近距離で混在する状況においては、敵味方の識別に加えて、撃つ・撃たないの判断を瞬時に判断しながら行動する必要があります。航空機は外側から攻撃し難い構造ですが、バスや列車は外側と内側の両方から攻撃を仕掛けます。そこでは味方が自分の射界に入ることは当たり前の話で、場合によっては自分の射界に敵と味方と第3者が混在することになります。

 その様な状況では、敵を識別して「撃つ・撃たない」の判断を行い照準を定めて引き金を引こうと条件反射的に行動する身体を、その敵の周囲に存在する味方や第3者の存在を認識して「撃てる・撃てない」の判断を行う頭脳が押さえつける必要があります。そうでないと敵を撃ったものの貫通した弾丸が敵の後方にいた味方などに当たることに繋がったりします。これが、シューター(射手)とシンカー(考える人)の決定的な違いとなります。訓練をある程度積めば「撃つ・撃たない」の判断能力を養えます。ですが、「撃てる・撃てない」の判断を下すには、その能力の養成を目的とした訓練を受けなければ養うことは困難です。現実世界で突然その様な状況に出くわして失敗するか行動をためらってしまう前に、標的識別を目的としたカリキュラムの訓練を受け、より多くの自衛官や法執行官の方々が来るべき日に備えることを望みます。
終わり



Posted by Shadow Warriors Training at 22:52 │小ネタ