2016年12月18日

PSD訓練(2)

PSD訓練(2)
 上の写真はAICが機能しているPSDチームの訓練風景です。AICは即座に敵性勢力から離れつつも最も手近な遮蔽物へと警護対象者を移すことに専念しながら、PSDチーム全体のコントロールをします。

 最も典型的な編成は、AIC1名を含んだ5名で警護対象者を囲うような配置です。四角形で囲うボックス型と菱形で囲うダイアモンド型の何れかが用いられますが、どちらも火力優勢と機動力に一長一短があります。AICが最も避けるべきことは、チームが射撃に集中し過ぎてAIC/警護対象者と離れすぎてしまうことです。欧米の軍隊には規模の大小の違いはあれPSDチームが存在しますが、やはり新隊員訓練ではチームを1つの塊として動かすことに苦労するそうです。

 と言うのも、通常軍隊では敵を殲滅する事を第1に考えますので、どうしてもそれまでの歩兵戦術から頭と身体を切り離せていない隊員は、敵に向かって攻撃・前進してしまうそうです。しかしながらPSDチームの目的は警護対象者を護ることであり、そのためには応戦しながらの離脱が通常取るべき戦術(TTP)となります。よってPSD訓練の内の射撃訓練ではBreaking Contactドリルが徹底して行われます。一時期サバイバルゲームでも「コンタクト・レフト!」など叫ぶのが流行っていたようですが、一方向からの攻撃への対処はハッキリ言って簡単です。伏撃(アンブッシュ)をより効果的なものにするためには、L字型に配置して敵を2方向から攻撃します。よってBreaking ContactドリルではこのL字型アンブッシュへの対処も繰り返し演練しますが、その際にAICがしっかりと部隊に攻撃方向と離脱方向を指示しないと、さらに部隊がバラバラとなり最悪のケースでは拳銃しか持っていないAICだけで警護対象者を護ることになってしまいます。

 繰り返しになりますが、1人でランボーを気取るならばShootとMoveだけで事足りますが、2名以上いる場合はCommunicateを疎かにすると部隊として機能しません。ただ、一度撃ち合いが始まると射撃している者は射撃だけに集中しがちになります。そうなると視野も狭まり、仲間の声も聞こえ難くなり、動くべきタイミングで動けない(動かない)ことになってしまいます。それを如何に防いでチーム全体を1つの塊として動かすかはチーム全体の習熟度だけでなく、AICの腕の見せ所になります。



Posted by Shadow Warriors Training at 10:19 │小ネタ