2016年11月06日

海上阻止行動 (2)

海上阻止行動 (2)
 では、それぞれの重要箇所を速やかに押さえる手順を説明します。

艦橋(ブリッジ)チーム:
 通常一番乗りで乗船し、ブリッジを制圧します。ブリッジ制圧後は、2~4名の指定された者がブリッジの左右に伸びるデッキに左右に分かれて位置し、主甲板などのエリアを射界に捉えてカバーします。ブリッジが制圧されたと同時に情報や通訳などからなる専門チームが合流を開始しますが、ブリッジにはチームリーダーを含む数名のみを残し、大半は無線室の制圧に向かいます。無線室の制圧が完了したら、ブリッジに残るチームリーダーに制圧完了の報告を入れ、無線室に他の者が入って来ない様に無線室を占拠します。

機関室(エンジン室)チーム:
 ブリッジチームと同様に、乗船後は第一にエンジン室へと向かいます。エンジン室の制圧後は、部隊を2つに分け、1つはエンジン室の占拠を続け、もう1つは船尾操舵室の制圧に向かいます。船尾操舵室の制圧が完了したら、更に部隊を2つに分け、1つは船尾操舵室の占拠を続け、もう1つはハロン室の制圧に向かいます。
 この間、制圧完了や移動開始など全てのタイミングは逐次エンジン室に残るリーダーに知らせれると共に、エンジン室に残るリーダーはその内容を逐次ブリッジチームに伝えます。

主甲板チーム:
 乗船後速やかに主甲板を制圧します。制圧する方向は乗船した場所によるので、船首からでも船尾からでも問題ありません。制圧する際は、部隊が横一列に並ぶような隊形を維持して移動する必要があります。これは万が一の交戦に備えて、自分の射界に味方が入らないようにするためです。船舶は中央部に大きな構造物を有しており、主甲板の左右に分かれたチームは互いの位置が確認し辛く、横一列での移動が困難となります。よって、ブリッジから伸びるデッキに残る監視チーム(狙撃に長けた者が望ましい)の援護と指示の下、横一列の隊形を維持しながら移動速度を統制されて動きます。
 ここで監視チームと主甲板チームとの間ではコミュニケーションが重要なカギを握ります。監視チームは主甲板チームの目となって、障害物の形状、隠れている人物の位置と特徴、等などを逐次的確に伝えて主甲板チームが後手に回らない様に助ける必要があります。
 また1区画を制圧するごとに、それより後ろ側のハッチを全て閉じて行きます。フレックスカフやパラコードで事足りる場合もあれば、溶接が非必要な場合もあります。

 艦橋チームと機関室チームの移動要領は、フラッドに近い要領となります。とにかく重要箇所を速やかに制圧することが目的ですので、そこに達するまでにある他の通路や部屋は無視して行きます。

 重要箇所を制圧・占拠し、主甲板チームが途中で遭遇した乗員を船首あるいは船尾側に追い込んだら、船内を隅々まで検索し、中に残る乗員を甲板上に出すことを行います。上から下へと順番に、先ずは主甲板より上にある構造物から始めます。それが終われば、主甲板より下の階層をクリアして行きます。階層ごとに船尾あるいは船首側から全てのハッチや通路も検索し、下層に繋がる部分には警戒要員を配置して1つの階層をクリアします。1つの階層がクリアされたら、次の階層を同じ要領で検索して行きますが、先程クリアした階層と繋がる部分に問題がなければ、上で警戒要員として残っている隊員はその段階で下層に検索チームに合流します。

 すべての船室、ハッチ、通路などの検索が終わり、乗員が主甲板上の一角に集められた時点で、制圧部隊の任務は終わりとなります。その後は部隊のSOPにもよりますが、残って警戒を続けるか、船舶全体の制圧完了後にやって来る乗員と貨物の検査を専門とするチームに引き継いで引き上げるかになります。

 言葉で書けば非常に単純明快なのですが、現実は非常に難しいです。なんせ、陸上の建造物と違って、構造が非常にややこしい。あれは、艦船の構造を熟知していない限り、隊員が非常に高いストレスを感じて見落としが起こるか、衝力が維持出来なくなります。
終わり



Posted by Shadow Warriors Training at 22:58 │小ネタ