2016年01月17日

コンフォート・ゾーン(1)

コンフォート・ゾーン(1)
 コンフォートとは英語で「心地よい」などを意味します。そして、コンフォート・ゾーンとは個々が快適に感じる「居心地のいい場所」を意味します。「コンフォート・ゾーンから抜け出せない者は成長しない」とビジネスの分野では言われますが、これは個々の得意分野や余裕を持って行える範囲内でしか仕事をしない者はその殻を破れないことから言われています。タクティカル・トレーニングでは、この「居心地のいい」とは心理的なものだけでなく、運動生理学的な側面も含みます。普段以上の精神的・肉体的な負担が掛けられた状態で高いパフォーマンスを発揮することが望まれる軍人や警察官にとっては、コンフォート・ゾーンの中だけでトレーニングを続けているとそれ以上の成長は望めません。もっとも、コンフォート・ゾーンの中だけで行っているのであれば、それはプラクティス(練習)であってトレーニング(訓練)とは呼べませんが...

 では普段の練習以上の負荷とは具体的にはどの様なことでしょうか?例として挙げるなら、ドリルに時間制限を設けたり、プレッシャーを与えて緊張感を高めたり、ただ撃つだけでなく考えて撃つ状況を付与したりすることです。勿論、個々の技量や能力によってコンフォート・ゾーンの外側に置かれた際の適応力は異なります。よって、トレーニングでは個々の適応力に応じてコンフォート・ゾーンの外側への出し方や度合いを変化させる必要があります。完全に外側に追いやることで「技術不足」を知らしめることはここの目的ではありません。その様なことを行う者がインストラクターである場合は、訓練生は一切技量を伸ばすことはないでしょう。単にインストラクターが自分が如何に優れているかを知らしめて自己満足に浸っているだけです。

 個々の技量を伸ばす上でインストラクターにとって重要なことは、個々が限界と思っているよりも少しだけプッシュすることです。そしてプッシュされても適応出来るのであれば、更にプッシュすると言った具合に、個々の能力を見極めて正しいタイミングで適度に少しずつコンフォート・ゾーンを広げていくことにあります。そうすることで、技量や適応力だけでなく、それらを取得したことによる自信を得ることが出来ます。この自信を得ることが非常に重要です。精神的にポジティブな状態で訓練を終えることで、自主練習や次のトレーニングへの準備が進みます。逆に出来ないことを知らしめて精神的に叩きのめすだけでは、自主練をする気にならなければ、やり方も分からず。また、次のトレーニングに参加する気も失せます。
(2)へ続く 



Posted by Shadow Warriors Training at 22:35 │小ネタ