2015年07月10日

見落とされがちな訓練課目(2)

見落とされがちな訓練課目(2)
 「通常業務や既に定められた年次訓練スケジュールに余裕がなく、新たな訓練課目を取り入れるのは無理だ。」「部内で指導員を育成しても、転属などにより部隊員全員に十分な訓練を施すことが出来ない。」「国内では高度医療機関への搬送が可能で、また優先すべきことであり、現場の隊員が処置を施すことは不適切だ。」

 この様な意見がどの部隊の上層部からも聞こえてきます。これは実は海の向こう側でも同じでした。しかし、欧米では銃器犯罪や爆破テロなどの被害者(警察官も含む)を出来るだけ助けるために、既にイラク・アフガン戦争で軍隊が実施していた戦闘衛生を警察部隊用にアレンジして取り入れることで、未だ現場の安全が確保されないことから搬送はおろか救急隊への引き継ぎすら出来ない状況においても、現場の警察官が必要な処置を施すことで死亡者数を減らすことに成功しています。また戦場では、医療施設への後送までに数時間から半日近くを要するような事態に陥っても、何もしなければその場で失っていたかも知れない命を救い、生きた姿で祖国へ帰すことに多くの案件で成功しています。

 では欧米では組織が本格的に戦闘衛生を正規のカリキュラムとして組み込むまでどの様な現象が見られたのか?それは、一部の隊員が個人で(自腹で)早くからその様な訓練を提供していたスクールに通って知識と技術を身に付けたのです。彼らは所属する組織へその内容をフィードバックし、少しずつ必要性を理解する者を増やして行くことで、遂には正式な訓練課目として組織に認められるまでに至ったのです。勿論そこへ至るまでは時間がかかりましたが、実際の事案を分析して現場のニーズをくみ取る部外機関が立ち上げられたのが大きかったと思います。これが上層部の息のかかった部内チームでは始めから答ありきの公式を解く事だけに精魂尽かされるのがオチですから。

(3)へ続く


 組織が動くまで待てない!身銭を切ってでも技術を学びたい!とお考えの方は是非こちらまで。



Posted by Shadow Warriors Training at 21:58 │小ネタ