2015年07月05日

見落とされがちな訓練課目(1)

見落とされがちな訓練課目(1)
 我が国のプロが欧米諸国の軍人や警察官などに比べて残念ながら訓練不足であると感じる分野があります。それは医療分野です。勿論その分野の専門家である医官や衛生隊員、レスキューが主任務の部隊に属する一部の警察官などは高いレベルの訓練を受けています。しかしながら、一般隊員や大多数の警察官に限って言えば残念ながら十分であるとは言えません。どちらの組織も一般的な救急法などは教育期間中に学びますが、はっきり言ってそれっきりです。陸自ではTCCC/CLS訓練を取り入れて、救急法から踏み出した「戦闘衛生」を一般隊員にも習得させようとしていますが、残念ながらその内容は米軍TCCC/CLS訓練の4分の1程度です。警察にあっては「戦闘衛生」の概念すら存在しないと言っても過言ではないでしょう。どちらの機関も日本医師会に遠慮しているのか、厚生労働省から圧力をかけられているのか分かりませんが、最前線の隊員や警察官は事に臨んでは国民の盾となって銃弾を受ける覚悟を持っているものの、組織や政治が実際に弾を受けた際に如何にして死なせないかの訓練を施していません。

 2020年は世界中の注目を浴びる年になりますが、あらゆる敵はその機会を利用しようと目論んでいます。過去に遭遇しなかったパターンの攻撃が起こらない保障は皆無であり、警備任務に就く警察官や後方支援に赴く自衛官が攻撃対象にならない保障もまた皆無です。選手や観客を第1攻撃目標とし、救助のために現場に駆け付けた消防隊員や医療関係者を第2攻撃目標とする戦術も敵の頭にはあるはずです。その様な集団外傷事案に際しても、TCCC/CLS訓練は高い力を発揮します。それは戦闘衛生が銃器や爆発物によってもたらされる特殊な傷害に特化しているだけでなく、民間の医療では決して教えない「敵の攻撃下における医療行為」にその本領を発揮するからです。

 SWTでは幾度かに渡りこの分野についての記事を書いていますので、ごく基本的な情報は過去のブログを参照願います。
   ・TCCC/CLS訓練についてはこちら
   ・メディカルポーチの種類についてはこちら
   ・集団外傷についてはこちら

 実際に銃弾を受けた際にどの様な症状が発生し、どの様な対処が必要かを学びたい方は、是非こちらからご連絡願います。

(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 21:19 │小ネタ