2018年02月12日

ハイリスク・ローリターン(ノーリターン?)


 とある訓練でのルームエントリー直後の様子の写真です。部屋全体の構造や写真手前側の状況(脅威やコーナーなどの存在)は不明ですが、それでもこの写真からエントリーが失敗であることが見て取れると思います。

 何故そう言えるのか?それは写真左奥に潜む仮想敵の銃口を振らせることが出来ていないからです。

 ルームエントリーはリスクを伴います。しかしながら、リスクの程度は脅威によるものだけでなく、自部隊の戦術によっても左右されます。勿論ノーリスクにすることは出来ませんが、戦術を上手く使い分けることでこの写真の様な設定でもミディアム程度までリスクを下げることは可能です。

 では、リスクを低減させてリターンを上げるには何が必要なのか?それは突入の目的と目標を理解し、共有することです。教範通りに行けば1番員の逆方向に2番員、その逆方向に3番員と続きますが、それはあくまでも教範での話しです。或は、紙の標的しかないキルハウスでのやり方です。ですが実際には部屋の状況や隠れている脅威の存在によって突入要領を変更させ合わせる必要があります。そしてこの臨機応変さを実現させるには、突入前にどれだけ状況を理解して、どれだけその状況への対応策を考えて仲間と共有出来ていたのかが鍵となります。

 勇んで勢いのまま突入すると、室内の脅威に対応するどころかそれら脅威を正しく認識することさえ出来なくなります。人間が一度に処理出来る情報量とスピードには限界があり、まして緊張状態においては情報処理はおろか状況認識ですら正しく行えるか疑問が生じる場合もあります。ですので、突入後の臨機応変さはあまり期待出来ません。リスクの低減は、突入前の行動に左右されます。

 残念ながらこの写真の部屋でどの様に突入するのがベターであったかは、警察官・自衛官の戦術的優位性を保つためにブログでは書けません。まあ、ヒントは既に書いていますが...  

Posted by Shadow Warriors Training at 00:46小ネタ

2018年02月05日

移動時の銃の構え方について(3)


 つまり銃を構えるということは、混在間における数ある対象の中から脅威を正しく認識して、またその脅威レベルを正しく判断して、必要な措置として銃口を向けて「対処」する必要があると判断されることが前提条件と言えます。そして脅威の認識や脅威レベルの判断は、広い視界の確保なくして実現することは困難です。上の写真は実際のとある事件現場において犯行時に撮られたものです。ナイフを持った暴漢が無差別に人を次から次へと刺した事件ですが、この様な敵と第3者が混在する状況においてサイトやスコープを覗き込んだ状態で前進したところで、誰が脅威でどの様な武器を所持しているのかを素早くかつ正しく認識することが出来るのでしょうか?

 構えた銃は目線と同じ高さにあると思われがちですが、実際はサイトやスコープが目線と同じ高さにあって銃そのものは目線より下に位置します。そして銃本体によって目線の高さより下にあるものは銃が邪魔をしてサイトやスコープを覗き込んだ際には見えません。加えて脅威であるか否かの判断は人相や服装を認識によるものではなく、所持品が何であるかの認識によります。つまり、銃口を正面に向けてサイトやスコープを覗き込んだ状態では相手が何を所持しているのか100%確実に認識・識別することは困難となります。

 従って、脅威を認識・識別するまでは広い視野を確保するために銃口はハイ・レディかロー・レディにて構えることが望ましく、脅威を認識・識別した後に初めて相手の胸部や頭部を狙うように銃口を正面に向けてサイトやスコープを覗き込んで銃を構えるやり方が現実的です。レスポンス・タイムの短縮は確かに重要です。ですが、撃つためには敵味方の識別が絶対条件として必要であり、敵味方の識別のためには正しく相手が見えていることが大前提となる事を今一度認識して下さい。
終わり
  

Posted by Shadow Warriors Training at 00:06小ネタ

2018年01月22日

移動時の銃の構え方について(2)


 銃をサイトやスコープを覗きこんで構える際に起こる問題とは?それは周辺視野が狭まることです。人間の目は野生動物ほどではないにしても上下左右に広い視野を有しており、情報の殆どを視覚から得ています。裸眼では上下約130°、左右約200°の視界を有していますが、前方しかも遠方の一点に意識を集中するほど視野は狭くなります。勿論、索敵時には一点に意識を集中することなく、少しずつ上下左右に視点をずらしながら見ますのである程度の視界を確保することは可能になります。

 近接戦闘時における意識と視点が集中された際の人間の視界が仮に上下左右ともに90°とします。上記の静止時の角度に比べればかなり視界が狭まったように思えます。ですが、4倍率・対物レンズ系32mmのTrijicon ACOG(4x32BAC)を覗き込んだ際の視野は7°ですので、サイトやスコープを覗きこんだ状態で索敵するのとローレディにて索敵するのとどちらがより多くを見れるのか明らかであると思います。

 人間は情報の8割以上を視覚にて得ていますので、見えていないと対応が遅れることになります。そしてより多くを見るためにはより広い視界を確保することが必要です。このことから、サイトやスコープを覗きこんだ状態で索敵するのではなく、広い視界を確保しつつ素早く銃口を脅威に向けることが出来る姿勢にて索敵するのが望ましいのです。上の写真の様に、銃口は正面(若しくはやや下方)に向けていても、目線はサイトやスコープの上にあって広い視界を確保した構え方でないと脅威に素早く対応するどころか、その脅威を認識することすら出来なくなります。
(3)に続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 00:08小ネタ

2018年01月15日

移動時の銃の構え方について(1)


 市街地でも野外でも、上の写真の様に銃口を正面に向けてサイト(やスコープ)を覗き込んでいる構え方をよく見ます。この様な構え方は確かに突然現れる脅威に対して最短のレスポンス・タイムにて対処することが出来るかも知れませんが、果たしてレスポンス・タイムの短縮が最優先課題なのでしょうか?

 軍や警察の訓練だけでなく、民間訓練施設においても俗にスクエア・レンジやフラット・レンジと呼ばれる標的とバリケードを配置したスタイルの射場における訓練では、「脅威」として対処すべき標的が設置されており、停止間でも移動間でもその「脅威」へ銃口を向けることが云わばデフォルトの構え方となっています。これは、標的の場所が既に分かっており、それに対する素早い「対処」に主眼が置かれた訓練であることから、その様なシチュエーションでは問題化されていません。ですが、現実的なシチュエーションでは、特に敵味方と第三者が入り乱れた混在間では、「脅威」が何処から現れるのか分かりません。その様な状況下で銃口を真正面に向けた構えにて移動中に、突如として味方や第三者が眼前に現れた場合、銃器安全四則のうちの1つである「壊したくない物・傷つけたくない者に対し銃口を向けないこと」は守られるのでしょうか?

 誰にも銃口が向けられることが無いことが最優先課題とされるのであれば、銃口は真直ぐ上か下に向けたストレート・アップ又はストレート・ダウンにすべきでしょうが、それでは突然現れるかも知れない脅威への素早い対処は期待出来ません。そこで、撃ちたくない者に対しては銃口を回避しつつ撃つべき相手には素早く銃口を向けられる構え方として、ハイ・レディ又はロー・レディが用いられます。


(2)へ続く


 話は逸れますが、今の世代の自衛官や警察官と訓練をする際に「ハイ」とか「ロー」とか言うと、EXILE系の映画(ドラマ?自分はCMしか見たことないので、よく分かりません)が頭をよぎる様ですが、私の様な40代半ばのおっさんは即座に愛川欽也の顔が脳裏にチラつきます...   

Posted by Shadow Warriors Training at 15:46小ネタ

2018年01月07日

遅ればせながら、謹賀新年


 皆様、明けましておめでとうございます。SWTは2018年もアングラ活動に邁進して参りますので、ご贔屓のほど宜しくお願い致します。

 本年は間もなく新しいプロ用コースとして、車両戦術コースを追加します。破損させても問題のない車両(セダン、SUV、バンなど)が備え付けのフィールドをお近くに探しておいて下さい。理想としては窓が開けられる(開いている)車両が望ましく、強いて言えば窓は全て無くても構いません(窓があればあったで、LPをアレンジしますのでご心配なく)。準備が整いましたら、HPにコース案内を載せると共に、ブログにて発表させて頂きます。

 また、これまでのコースでプラスアルファで実施した格闘を本格的にコースとして開催して欲しいとの要望を多く頂きましたので、本格的に検討して行きたいと思います。こちらもLPが準備出来次第、HPに掲載しブログにて発表させて頂きます。

 それでは本年も皆様からのトレーニングのご依頼をお待ち致しております。  

Posted by Shadow Warriors Training at 23:04その他