2018年06月20日

通常業務再開のお知らせ


 欧州でのトラッキング訓練を終え、昨夜帰国しました。通常業務を再開しますので、よろしくお願いします。

 今回は、オランダ海兵隊のトラッキング・インストラクター2名とチェコ陸軍特殊部隊員1名が指導員を務め、チェコ、ベルギー、ドイツ、アメリカ、日本から集まった軍人・警察官12名から成る学生部隊にて4日間に渡る訓練を受けました。足跡や痕跡の見つけ方を学ぶことから始まり、他の学生が通った森の中を痕跡を辿りながら追跡したり、ペアを組んで逃げる敵を追撃したり、最終想定では逃げながら絶妙な地点を見つけて伏撃を仕掛ける側と、僅かな痕跡を読み取って敵の伏撃地点を予想して対伏撃戦術を仕掛ける側とに分かれたForce-on-Force訓練を実施しました。

 そして最終想定では計3ヶ国からなるチームのリーダーに任命されましたが、なんとか無事に責務を全うし、勝利を収めることが出来ました。これまで色々な場所で受けてきたリーダーシップ訓練が活かされましたが、やはり課題もまだまだ見えましたので、引き続き精進したいと思います。

 まあ、この最終想定を日本で実施するには演習場でないと無理ですね。それか地権者から許可を得た山の中か。サバゲフィールドでは極々基本の痕跡の見つけ方しか実施不可能ですね。

 因みに、写真の中央にいるのが今回の主任教官です。  

Posted by Shadow Warriors Training at 23:50お知らせ

2018年06月13日

臨時休業のお知らせ


 HPでは以前よりスケジュール表に載せていましたが、本日より1週間、臨時休業に入ります。本日出国し、ヨーロッパ某国にてトラッキングの訓練を受けに行ってきます。帰国は19日(火)の夜になります。

 トラッキングは、タクティカル・トラッキングやコンバット・トラッキングなどと軍隊では呼ばれており、偵察や斥候の技術の1つとして挙げられていますが、近年ではIED攻撃の現場から仕掛けたテロリストの痕跡を追って追撃に転じる際のマン・ハントの技術としても用いられています。また、欧米の警察では郊外や田舎における逃亡犯の追跡を始め、遭難者の痕跡を辿る技術をして救難救助活動にも用いられています。

 この仕事をしていると、LPの組み立て・編集や色々な事務作業に追われることから、自分を訓練する時間がなかなか取れませんので、臨時休業を取って自分のスキルアップをさせて頂きます。本来ならもっと日数を取って訓練と観光に行きたいところですが、今回も前後のスケジュールの都合から、ストレートで往復する訓練のためだけの渡航になります。

 渡航中はメールの確認は出来ますが、電話に出ることは出来ません。また、トレーニング申し込みのメールに対して直ぐに返答出来ないと思います(野外で3夜4日を過ごしますので)。よって、渡航中に頂いたメールは帰国途上に確認・返信させて頂くことになるかと思いますので、ご承知下さい。帰国後、通常体制に戻ったことを改めて本ブログを通じてお知らせ致します。  

Posted by Shadow Warriors Training at 11:18お知らせ

2018年06月10日

AD? ND?


 既に皆様ご存知の、コロラド州デンバーのナイトクラブにて非番のFBIエージェントがやらかした案件です。動画は以下のリンクを参照して下さい。
 https://www.youtube.com/watch?v=1z3beGbtAG0

 Denver Post電子版では、"When the agent retrieved his handgun, an unintended discharge occurred." (エージェントが銃を回収しようとしたところ、予期せぬ発砲が起こった)との声明が出されていた様ですが、アホか?と思いましたので今回のネタにします。そもそも動画を見れば、これは予期せぬ発砲ではなく、完全に予期できた発砲です。また、「暴発」と翻訳されている国内のニュースなどが多々ありますが、そもそも銃にまつわる事故では「暴発」と「誤射」の2つが存在しますが、両者は全く性質が異なるものです。そして今回のケースは後者の「誤射」に該当します。

 それぞれの違いを説明したいのですが、あまりにも世間に誤解が多いので、先ずはその前に銃の機能から説明しましょう。装填され安全装置が解除された拳銃や小銃が手元から落ちたらどうなるか?十中八九、暴発は置きません。起こる確率としては、シアーの極端な摩耗などといった銃の構造的なトラブルがあった場合であり、その場合は落下の衝撃でシアーが外れるなどして撃鉄が落ちる可能性があります。しかし、構造上何ら問題のない銃は、例え遠投するかの如く放り投げても、落下時に「暴発」することはありません。これは自分自身が実弾を装填して安全装置を解除した銃で何度もわざと検証のために落としたり投げ飛ばしたりした経験から言っている「事実」です。

 その証拠に問題のエージェントの銃がホルスターから抜け出て床に落ちた際には「暴発」起きていません。問題が発生したのは、彼が床に落ちた銃を拾おうとした際です。ここで彼はプロとしてはあり得ないくらい不注意にも引き金に触れた状態で銃を掴みました。その結果、撃鉄が落ちるまで引き金を引き切ってしまい、「誤射」が起きました。なお、銃の落下から「誤射」が発生するまでの間、彼は安全装置を解除するような動きは一切見せていませんので、ホルスターに入っていた状態で既に安全装置は解除されていた、あるいはマニュアルセーフティーのないタイプの銃(グロックなど)であったと言えます。

 日本語では一括りに「暴発」とされがちですが、英語では機械的な問題に起因するものはAD (Accidental Discharge)、今回のような人為的な問題に起因するものはND (Negligent Discharge)と呼び分けられています。今回の事故の場合は、あきらかにオペレーターがどんくさい奴であったことが明白であり、暴発(AD)ではなく誤射(ND)です。加えて、直ぐに銃が抜け出るようなスカスカの糞のようなホルスターを使っていたのも問題です。近年トレンドのカイデックス製のホルスターであれば激しく動いただけで抜け落ちることはありません。直ぐに銃が抜け出てしまうような安価なホルスターを使っていたら、銃撃戦が始まる前段階の動きの中で大事な銃が抜け落ちてしまいます。

 装填された銃を地面から拾い上げる。一見、あまり意味のない訓練課目に思えるかも知れませんが、実は非常に大事です。味方や敵の銃を拾い上げるだけでなく、自らが被弾したことにより落としてしまった銃を活きている腕で拾うことを想定しているのであれば、ぶっつけ本番は避けてその様な訓練は定期的に行っておくべきです。  

Posted by Shadow Warriors Training at 19:57小ネタ

2018年06月03日

コンバット・アキュラシー(3)


 パート1・パート2で書いてきた様に、コンバット・アキュラシーとは例え狙った「点」を外していたとしても狙点を中心として効果的かつ最低限の誤差である「面」への着弾と言えます。そして、求められる精度を追及するために必要なのは、単に構えた銃で狙いを付けて引き金を引くといった「身体」が主体となった行動ではなく、自身が置かれた条件や周囲の状況を理解・判断して、無理に引き金を引こうとする「身体」をコントロールするといった「頭と心」が主体となった行動です。

 射撃においてテクニックは1割であり残り9割はメンタルである、とよく言われますがまさにその通りです。知識や理解、心構え(マインドセット)が全ての基礎であり、技術(テクニック)も戦術(タクティクス)もその基礎の支えなくして存在することは出来ません。

 戦闘射撃においては、
 ・敵の身体における「標的」の位置と大きさ
 ・敵までの距離
 ・敵の移動方向
 ・敵の移動速度
 ・自身の移動方向
 ・自身の移動速度
 ・敵の周辺の遮蔽物や第3者の状況
といった違いを理解し認識した上で、引き金をコントロールする必要があります。実際、撃ち合いが始まると身体が勝手に本能的に銃口を向けて引き金を引こうとします。しかしここでメンタルがフィジカルを制御しないと、敵に当たらないだけでなく敵を逸れた弾による被害を発生させてしまうことに繋がります。

 コンバット・アキュラシーにおける「許容範囲」とは、技術的な問題による狙点からの着弾の広がりを許すことではありません。その許容範囲とは、メンタル的にコントロールかつ予測された、意図した狙点からの着弾の広がりです。
終わり
  

Posted by Shadow Warriors Training at 23:10小ネタ

2018年05月28日

コンバット・アキュラシー(2)


 警察任務や軍における警備任務においては、自らの銃から発せられた弾は狙った相手に命中しようが外れようが、その1発1発に法的責任を問われます。よって数を撃って相手を制圧する場合でも、相手の身体を外れた弾と、相手のバイタルエリアは外れたものの身体に当たった弾とでは法的な性質や責任が大きく異なります。相手の身体を外れた弾は無関係な第3者の財産に損害を与えたか、最悪のケースでは第3者の命を奪うことに繋がります。そうなれば、その場で引き金を引いた状況判断だけでなく、何故命中しなかったのか?といった日頃の訓練内容が法廷で争われることになります。そして、そもそも日頃の訓練で移動間における移動標的に対する命中精度に係る徹底した訓練がなされていたのか?も争われることになります。

 よって普段の訓練においては、様々な状況を想定してそれぞれの状況下での適切な弾着の許容範囲=コンバット・アキュラシーを理解する必要がありますし、教える側はそれら状況下における許容範囲を示す必要があります。また、異なる状況下とは、バリケードを挟んだ状況は勿論、腕を伸ばせば相手に触れることが出来る程度の距離で対峙した場合や、射手と敵との間に味方や第3者が混在している状況など様々です。よって訓練では、それら状況下において如何にして命中させるかだけでなく、如何にして味方や特に第3者への損害を減らしながら相手に効果的な命中弾を浴びせられるかが課題として挙げられる必要があります。

 そして、その様なリアリズムを追及した訓練では、ただ単に構えた銃を撃つのではなく、
 ・どうすれば自身への被害を最小限に出来るのか
 ・どうすれば第3者への被害を避けれるのか
 ・どうすれば敵を素早く無力化出来るのか
 ・弾切れを起こした場合はどうすべきか
 ・銃が故障した場合はどうすべきか
等々を、相手との距離や周囲の地物や地形をよく理解して、常に考えておく必要があります。何故なら問題が起こってから考えを張り巡らせるのは命を懸けた状況では遅すぎるからです。よって、訓練ではリアリズムを追及した様々な現場で起こり得る状況を「再現」させて、各人に「撃つ」よりも前の段階で「考える」ことを要求することが求められます。

 標的射撃や競技射撃に必要なのはShooterですが、戦闘射撃に必要なのはThinkerです。Travis HaleyのトレーニングスクールのモットーがThinker before Shooterとなっていたり、James YeagerのスクールのロゴがM4を背負ったロダンの考える人であるのは確固たる理由があるからです。
(3)に続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 22:29小ネタ